Columnコラム

今は赤くないんですけど、ルメッカで赤ら顔治せますか? 更新日時 2024/08/21 14:35

読む時間の目安 5~8分

患者A

先生、今日は赤ら顔を治したくて来たんですけど、ルメッカだと効果はどのくらいありますか?

医師

赤ら顔のご相談ですね。ですが、今お顔を見ている限りではあまり赤くは見えませんが、赤くなるのは一時的だったりしますか?

患者A

そうですね、緊張したり暑くなったりするとすごく赤くなります。今はそれほど赤くないかもしれません。

医師

なるほど、そうするとルメッカでの治療はあまり効果的とは言えません。お話を聞く限りでは毛細血管の拡張は一時的で、それは自律神経の調節がうまく働いていないことが原因の可能性が高いです。

患者A

ルメッカがだめならVビームとかのほうがいいってことですか?

医師

Vビームもルメッカも、拡張した血管を破壊するという治療の原理は同じなので、今お悩みの症状に対してはどちらも効果的な治療にはならないと思います。

患者A

私の顔の赤みは拡張血管が原因ではないのですか?

医師

正確に言うと、赤くなる時には血管が拡張しています。そういう意味では顔の赤みの原因は血管の拡張なのですが、それは主に体温を一定に保つなどの目的のために、自律神経によって適正にコントロールされるはずの正常な機能です。 ただし自律神経の乱れの程度によって赤くなりやすい人とそうでない人がいて、その違いとしては皮膚の薄さ、間違ったスキンケアによる刺激、血液循環の悪さ、食習慣、慢性的なストレス障害、などがよく挙げられています。

患者A

じゃあ、どんな治療がありますか?

医師

主には生活習慣の改善です。肌への刺激を減らして安静を保つことが第一です。そしてバランスのいい食事をして、体を温める食材などを取り入れるといいですし、軽い運動や入浴の習慣は血液循環の機能を高めるほか、交感神経の緊張を和らげてくれます。生活のなかで長時間の緊張状態があると自律神経はみだれやすいので趣味や音楽はいいと思いますし、仕事や人間関係を見直すようなことが必要であれば頼れる身近なひとや専門家に相談してみるのもいいかもしれません。

患者A

そっか、レーザー治療は効かないんですね。

医師

レーザー治療もルメッカIPLも、拡張血管を熱で破壊する治療です。拡張しっぱなしで収縮機能を失った血管ならある程度破壊してしまうことを目指してもいいかもしれませんが、今はそうではありません。血管を開いたり閉めたりする自律神経の調節機能が不調なのであって、血管自体の異常ではないので、正常な血管を破壊するのは治療方針として良くない、ということをご理解いただければと思います。

患者A

わかりました。効果がないなら諦めます。

医師

。。。。

赤ら顔とは

 赤ら顔をコンプレックスに感じていらっしゃる方は多いです。運動した時やお酒を飲んだ時気温に少し赤くなるくらいは普通だとは思いますが、日常的な気温の変化や緊張などで真っ赤になることなどは、あんまり普通ではないと感じる人もいると思います。また、赤みが一時的ではなく常に赤くなっている方もいて、その中には皮膚科で適切な治療を受けるべき皮膚の病気である方もいます。一言で赤ら顔といっても、それぞれの状態や原因によって治療方針がことなるため、医療機関で相談したうえでその結果に従って適切に取り組むことが必要です。

来院時に赤くないケース

 来院時に赤くないのに、「赤ら顔を治したくて。。。」とご相談をいただくケースが結構多いです。この場合結論から言うと、治療の瞬間に拡張していない毛細血管に対しては、ルメッカはあまり効果的な治療とは言えません。モデルケースの会話中にあったように、生活習慣・食習慣などが本質的な意味で改善をもたらします。すぐにでも改善するべきことをいくつか挙げておきます。

 まずは洗顔やクレンジングのやり過ぎについてです。朝については体温以下くらいのぬるま湯での洗顔であれば刺激は少ないのですが、顔をごしごしこすったり、強力な界面活性剤を含んだ洗顔料で入念に洗顔をしすぎるのはよくないです。夜についても、メイク落とし時にふき取りタイプを使用するのだけはやめましょう。含まれる強力なクレンジング剤による刺激と、摩擦による刺激の両方が、肌をさらに不安定にします。オイルやジェルタイプも基本的には強力なものが多いため、肌トラブルでお悩みの場合にはそれらを使わずにクリームタイプなど刺激が少ない製品に切り替えてみるといいかもしれません。

 次に食習慣についてはやはりバランスよい食事を心がけるべきです。脂質や糖質の多い食事は皮脂の過剰分泌につながり、皮膚のバリア機能を低下させてしまうため、刺激によって赤みが出やすくなるなどの悪影響があります。

 睡眠不足や運動不足、仕事や人間関係からくる緊張などで交感神経の亢進などがあると肌への血流をコントロールする自律神経の正常な働きを妨げます。ですのでできる範囲で改善を目指すべきです。

 赤ら顔の相談の現実

 最近ルメッカが人気で、シミ治療で多くのかたに好評をいただいてはいますが、赤ら顔のお悩みの相談もそれなりにあります。ただ、多くのケースではモデルケースの会話のような一時的に赤みが強く出るタイプの赤ら顔のお悩みで、わざわざ来ていただいたのによい成果を得られずにお話だけでお帰りいただくようなことも日常茶飯事です。

 丁寧にお伝えしているつもりではありますが、薬や機械の治療に期待していたかたにとって、「自律神経の乱れが原因なので、肌のケアや生活習慣を見直してストレスを減らしましょう。」というアドバイスは、とうてい納得しがたいものがあるのかもしれません。「(このクリニックの)レーザー治療は効果ないんですね。」といった捨て台詞のような言葉をかけられることも少なくはありません。おそらくはそういった方は自らの思い込みについて何も省みることなくいくつかのクリニックを渡りあるき、どこかで高額なレーザー治療を契約して時間とお金を無駄にすることもあるかもしれません。それはそれでそういう世の中なので仕方ないことなのでしょう。こちらをお読みいただいている方におかれましては、そのようなことがないようにお祈りいたします。

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