Columnコラム

【医師との会話】私のまぶたのたるみはもう切るしかないですか? 更新日時 2023/12/22 18:26

読む時間の目安 8分~10分

患者A

先生、わたし昔はもう少し広い二重だったんですが、最近かなり狭くなって一重みたいに見えるのが気になるんですが、埋没法でなんとかならないでしょうか。

医師

まぶたのたるみについてお悩みですね。ええ、一見すると眉下切開リフトのよい適応ですが、まずは埋没法のシュミレーションからしてみましょう。鏡を正面にお持ちください。

患者A

やっぱり切るしかない感じでしょうか。。。

医師

まあまずは埋没法するとどうなりそうか見ていただいてから考えることにしましょう。はい、目を開けてみてください。今のラインから1.5mmくらい上げる位置で固定するとこの感じで仕上がります。

患者A

んー、少し違いはわかりますが、それでもたるみは気になりますね。。。もう少し上げることはできませんか?

医師

ではいったん目を閉じてください。ええ、さらにラインを上げるのはあまり良い選択とは言えないかもしれませんが、百聞は一見に如かずです。ご覧いただきましょう。はい、目をあけてください。どうでしょうか。

患者A

あー、これは、腫れてるように見えますが、術後腫れが引いた後もこんな感じですか?

医師

はい、おおよそこの感じで仕上がると思っていただくといいと思います。ラインの上にかぶさる皮膚に厚みが出ていて腫れて見えることが気になると思いますし、個人的にはラインの下の部分のたるみがまつ毛の生え際を隠しているのも気になります。目じりのラインもすこし下がっていて、目の印象も丸ーくなってしまう感じですし、この高さのラインで埋没法をすると、少し不自然な印象が否めません。

患者A

切ったらきれいになるんでしょうか。切ったらどうなるか、今みたいに見れたりしますか?

医師

そうですね、切ってたるみを取る方法としてふたつご紹介できますが、そのうちの眉下切開リフトというのは術後どうなるかのシュミレーションが大体できます。では詳しい説明の前にまず見ていただきましょう。また同じように正面に鏡をお持ちいただいて、目を閉じていただきます。おでこの力をなるべく抜くように意識して。。。

患者A

はい。

医師

ではここで眉を押さえて位置を固定しますので、目を開けて鏡でご覧ください。

患者A

はい。えっ、すごくおでこに抵抗ありますね。目が開けにくい感じがします。

医師

実は、おでこの力を抜いた時の本来の眉の位置はここなんです。まぶたのたるみは、普段は無意識におでこの力を使って支えているから結構軽くなっていますが、本当はこんなに、びっくりするくらいあるんですよ。

患者A

なるほど。それでこれを切ったらどうなるんでしょうか。変わりすぎて変だったりしますか?

医師

いえいえ、そんなことはありません。ではここからがリフトアップのシュミレーションです。眉を少しずつ持ち上げますね。4mm、6mm、8mm。8mmくらいの幅で皮膚を取るとこの感じです。

患者A

あー、こうなったらいいですね。二重の幅も自然に見えます。

医師

まぶたの厚みがかなり減ったことがわかると思います。二重のラインももともとあったラインのままで、かぶさっているたるんだ皮膚が持ち上がっただけなので全然別人の印象にもなってないと思います。術後のダウンタイムも短いのでお勧めです。

患者A

そうなんですか。。。これやったらどれくらい持ちますか?今やった方がいいか、もう少したるんでからやった方がいいとかありますか?

医師

いえ、眉下切開リフトについては仕上がりがだいたいシュミレーションの通りになりますので、それが必要だと感じた時が適した時期だと考えてもらっていいと思います。手術までの期間「そのままで過ごす」ことを苦痛に感じるくらいまで我慢する必要は全くなくて、毎朝のメイクの時に気になりだしたらもうそれはその日一日のパフォーマンスに影響しかねませんので、早めに手術することのメリットは大きいと思います。

患者A

「持ち」はどうでしょうか?

医師

「持ち」というのは効果の持続する時間のことですか?こういう手術の場合は、切除した皮膚が帰ってくることはありません。いわゆる「持ち」という概念はないのですがあえて言うなら次におなじようにたるみが気になりだすタイミングという意味になると思うのですが、これは人によって様々です。前回の手術が5年前という方もいれば、20年前というの方もご相談もよくあります。個人的な経験では、眉下切開リフトが4回目という方の手術を担当させていただいたこともありますが、さすがにたるみを気にしすぎではないでしょうかと、カウンセリングで言った記憶があります。

患者A

でも、わたしの今の状態なら先生的にはこれがいちばんいい選択ということですよね。さっき見たような感じに仕上がるなら、やってみてもいいかなと思いますし、ダウンタイムや傷跡の経過などについても聞きたいです。よろしくお願いいたします。

どんな説明よりシュミレーションが大事

 まぶたのたるみ治療については、ダウンタイムが短い順にレーザーによる引き締め、埋没法、眉下切開リフト、二重全切開、のおおよそ4種類があります。

 まずレーザーによる引き締めですが、施術後の見た目はそれほど大きく変わらないので、現状ですでにたるみで悩んでいる場合の選択肢としては不適切です。どちらかというと切開する手術をなるべく先延ばしにしたいと考えている場合に、予防的な感覚で行うような治療です。

 次に埋没法と眉下切開リフトについて考えていきますが、シュミレーションでほとんど結果がわかるのでそれを参考にします。埋没法・眉下切開リフトのシュミレーションで好みの状態が見つかった場合は他に言葉はあまり必要ありません。それを信じて手術を決めていただいてまず大丈夫です。もし気になる点があった場合は、それを改善するためにどのような工夫が可能か、二重全切開がやはり必要なのか、相談していただくといいと思います。

シュミレーション時に注意してみておくべき点

 すこし細かいことになりますが、シュミレーション時に「ここが気になるんですがもう少し何とかなりませんか」というふうに指摘されることが多い点を挙げておきますので、カウンセリングに来られる際に知っておくと細かい点をチェックしやすいと思います。参考にしてください。

目頭側のラインはもう少し広がりませんか

 シュミレーションを繰り返しても目頭側のラインがイメージ通りに広がらない場合には、目頭切開または二重全切開で蒙古ひだと呼ばれる構造を調整する必要があります。

目じり側のラインをだんだん広がるように調整できませんか

 目じり側のラインが下のほうに向かっていて、目が丸く見えてしまうことが気になる場合は、眉下切開リフトまたは二重全切開を検討する必要があります。より詳しく説明すると、二重ラインは普通は眼輪筋の筋線維に沿うようにできていて、目じり側で下がって目じりの靭帯に向かうようなラインになりやすいです。これに対して眉下切開リフトで目じり側のたるみを減らすことは一定の効果がありますので、まず眉下切開リフトのシュミレーションで確認します。ですが眉下切開リフトのシュミレーション時にあまり良い感じがしない場合には二重全切開で眼輪筋の走行を横断するように切開する必要があります。

もっと広い二重にはできませんか

 目頭側とか目じり側とかではなくて、二重ライン全体の幅がもっと欲しいという場合は、二重の全切開を検討する必要があります。その理由は、埋没法で瞼板に固定できるラインにはある程度上限があって、大体目を閉じたときに10mmくらいの位置が限界です。その辺りの幅でシュミレーションしてみたときに二重幅に満足できない場合には、二重の全切開が必要です。

まぶたの厚みをもっと改善できませんか

 埋没法のシュミレーションで、低い位置のラインだと幅が狭く見えてよくないし、高い位置のラインだと幅はよくてもまぶたが厚く見えてあまりよくない、という場合には、眉下切開リフトなら厚みの問題をかなり改善できます。ただし、眉下切開リフトのシュミレーションでもさらにまぶたの厚みの改善が必要と感じる場合には、ROOFや眼窩脂肪の切除を併用します。

二重ラインの下のところのしわ・たるみや「ハム目」は改善できませんか 

 二重ラインの下の皮膚がたるんでいたりしわが目立ったり、いわゆる「ハム目」と呼ばれるもっこり感がきになる場合には、原則として二重全切開を検討します。眉下切開リフトのシュミレーションを見ていただくとわかりやすいですが、眉下切開リフトではまつ毛の生え際のところのたるみは距離が離れすぎていて十分な改善が得られないことが多いです。また、埋没法でその部分を直接持ち上げるように固定しようとすると二重ラインの幅がかなり狭くなってしまうケースがほとんどで、それで満足できるようなものではないことが多いです。結果的に二重ラインで全切開をして、ラインの上下ともに皮膚のたるみや眼輪筋を適切に切除して、たるみやふくらみを減らして固定するような手術が必要になります。

左右差は調整できませんか

 二重にかぶさっている皮膚の多さが左右で違うときに、眉下切開リフトで「右側のたるみをたくさん取ってほしい」というように、左右差の調整を希望される場合があります。ですが実際はほとんどのケースで二重の固定の強さが左右で違ったり、二重ラインがそもそも左右で高さが違ったりすることが原因です。ですので本質的には埋没法などで二重ラインの左右差を整えることが必要です。もし眉下切開リフトで左右の皮膚の切除範囲を変えてしまうと、結果的に眉の位置が左右で違うようになってしまったり、左右差をより複雑にしてしまう可能性が高いため、お勧めではありませんので注意が必要です。

 

 いかがでしたでしょうか。埋没法や眉下切開リフトは非常によい手術ですが、希望されるような調整が難しいこともありますし、希望に沿うには二重全切開の手術が必要になったりするケースもあります。それらのほとんどは診察時のシュミレーションで分かります。また、逆に言うとここに挙げたくらいのことはすべての手術時に意識していますので、二重全切開についても安心して相談していただけたらと思います。

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