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【Dr.のホンネ】院長先生を指名したいのですができますか?という質問への答えについて

  • 更新日時 2019/04/18 15:10

 治療を受ける方から、よく聞かれる質問についてお答えします。より具体的な、ためになる内容のものは「コラム」のコーナーをご覧ください。ドクターブログでは、医学的な観点からはかなり外れたごくごく個人的なしょうもないやりとりを紹介するものですのでご了解ください。

「院長先生を指名したいのですができますか?」

 電話でお問い合わせ・ご予約をいただく際に、「その日の担当は〇〇先生です。」と電話で受付担当者がお伝えすると、「その先生は院長先生ですか?できれば院長先生がいいのですが、指名はできますか?」と言われることがあるようです。どうやら初めて当クリニックにご相談いただいているようなのですが、〇〇先生が院長かどうかわからないけれどもとにかく院長を指名したい、という希望のようです。常連のリピーターの方が高澤を指して「院長先生がいる日でお願いします」と言っていただく場合は特に何も不都合ないのですが、院長が誰かもわからないのにとりあえず院長を指名するということには違和感を感じます。

 エラそうなことを言わず「院長指名でご予約承ります。」と一言で解決する話ではあるので、こんなことに目くじらを立てて1コラム書こうなんて、どんなに心の狭いやつかとお思いかもしれません(笑)が、お伝えしなければならない大事なポイントもありますので、今しばらく読み進めてみてもらえますでしょうか。

院長とは

 院長とは、その病院またはクリニックを代表する立場にある医師のことです。創業者であることもありますし、院長職を引きついだ方の場合もあります。医師は院長ひとりの場合もありますし、何人かの医師が在籍していてそれを束ねている責任者という場合もあります。通常は経営者ではなく医師として働いていることが多いですが、個人で運営している場合には医師としての通常業務のほかに、管理業務や方針決定に関わる業務、他の医師やスタッフを教育する業務のほかに自ら学ぶ時間も確保しなければならないなど、とんでもない量の業務を抱えている場合が多いです。今回はいろんなパターンの院長がいるということ、そしてそれぞれを指名する、ということについて話したいと思います。

  ①個人クリニックのひとり院長

 多くの例外に目をつぶって一言でまとめると、美容外科における個人クリニックのひとり院長の多くは、都内あるいは人口密集地のターミナル駅前で控えめな構えでプライベートクリニックとして運営されているイメージです。プライド高い一匹狼の医師が、自らの医師としての存在価値を世に問うという形で自己資本で運営されているパターンが多いです。そもそもそのクリニックは院長そのものを体現していますので、そのクリニックに興味を持った時点で院長指名ということになります。このような院長は、特殊な治療ポリシーをもち、理論武装に余念がなく、比較されがちな他の医師の治療をけなしたり見下したりする場合があります。そしてその性格から業界の流行りをアップデートすることにはあまり興味がありません。

 気になる技術レベル・責任感のレベルに関してはそれぞれ差があれど、自らの存亡を己の技術にかけているだけあって技術レベルは総じて高く、常に全力で期待に応えようとする責任感を発揮してくれるはずです。ただしアクは強い場合があるため、カウンセリングで医師との相性をみる必要はあると思います。

  ②複数の医師がいる個人クリニックの院長

 私がこれにあたるのですが、独立した当初は個人クリニックのひとり院長だったわけです。独立して自らの信じるポリシーに従ってサービスを提供するためにと、①の院長たちと同じ動機でクリニックを始めたにもかかわらず、しばらく経つと思わぬ人気が出てしまったために予定より設備を拡張せざるをえなかったり、スタッフの労働環境の維持・改善のためにある程度規模を拡充せざるをえなかったりと、その場その場で必要に応じて臨機応変にサービスの形態を変えながら今に至ります。ただし自分の目が届いて自信をもって提供できる範囲でしか仕事をしたくないので、技術の継承のないまま未熟な医師を前線にそろえて短期間で規模を拡大するようなことはしない方針のため、個人のクリニックの形態を維持しています。

 いずれにしても①の院長と同じく個人経営ですので、技術レベル・責任感のレベルはおおむね高いことが多いです。複数の医師を抱える立場上、技術の更新やその共有にも多くの時間を割く傾向があると思います。雑務などの仕事量が多いため、院長を指名すると予約が取りにくかったりすることはあるかもしれません。

  ③大手資本や医療法人が片手間で運営するクリニックの院長

 エステサロングループや化粧品のメーカーなどの大手資本が美容クリニックを立ち上げ、美容関連の本業と美容クリニックの協同によって付加価値を得るなど、相乗的なことで利益を得ている業態もあります。また、美容クリニックは儲かりますよという経営コンサルタントの甘言に乗って、老人保健関連の医療法人までもが美容未経験の医師を院長にして美容クリニックを立ち上げたりもしています。こういった「片手間の」クリニックでは通常は「低リスク高収益」の美容メニューを半ば押し売りする形で運営しているのがパターンです。雇われの院長は責任感のレベルは高いとは言えず、ホームページに紹介されていないこともあり、アルバイトの医師だけで運営しているところも多々あります。経営者の決めたとおりに診療をするだけのため何年やっていても経験の蓄積はありません。院長の指名以前にクリニック選びから見直すほうがいいかもしれません。 

  ④多店舗展開する大手美容外科クリニックの院長

 これほど当たりはずれのある選択肢はないというくらいピンキリなのが大手美容外科クリニックの院長です。そもそも大手美容外科クリニックは、スケールメリットを活かした経営で成り立っています。同じ広告費をかけるなら、各地域のアクセスのよい場所に店舗があれば広告の効率がよいわけなので、まずはともあれ店舗を増やすことが第一になります。その際熟練の医師をすべての店舗にいきわたる数だけ揃えて、なおかつそれぞれの技量がそろっているということは考えにくく、店舗数の拡大の勢いのままに未熟な医師を最前線に立たせます。私もその現場を経験してきているのでわかりますが、部外者からすると言語道断と言いたくなるような現場です。

 それだけなら、未熟な医師ではなく院長を指名する限り問題ないように感じます。ですがその院長に関して、技術・経験はともかく責任感を期待するのは難しい場合もあります。大手美容クリニックでは院長を決める企業内の順位付けが必ずしも技術面や責任感を反映しているわけではありません。どちらかというと経営者が好むタイプを院長にするのですが、その基準は常に「効率よく売り上げる」ということに尽きます。医師あるいはスタッフ全体に、売り上げに対してインセンティブが設定されているので、いかに時間をかけずに、いかに多くの売り上げをあげるかによって給与が左右されるようになっていることが普通です。院長は常に短時間で効率よく売り上げることのみを追求させられている、あるいはそれを喜んで行う人が院長になれる、というのが現実です。そこに誠実な治療方針を真摯に貫くという責任感がうまれる余地はありません。

  ⑤名義貸しの院長

 有名な医師が在籍していることで信頼して治療を任せたが、全身麻酔中に執刀したのは実は別の医師だったなどということは、スタッフがリークしないとわからないことです。噂レベルでちらほら漏れ伝わってくることはありますが、そういうクリニックはそうそうないはずと、信じたいです。

まとめ

 個人経営のクリニックの院長は責任感が強いことが多いです。ポリシーがはっきりしていたり、アクが強かったりするため好みは分かれる場合もありますが、技術に関してはそれを頼みに独立しているという点を評価してもらえたらと思います。片手間系クリニックには行かないほうが賢明で、大手美容クリニックでは技術経験に優れた院長がいる一方で、インセンティブによる給与アップにしか興味がないホストのような院長もいます。いかなる形態のクリニックでも「院長を指名」しただけでは安心ではないので、注意が必要です。

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