プライム銀座クリニック

マイクロナントカじゃなくて、マイクロカニュレです

　上のような会話の質問をされる方はけっこういらっしゃいます。どうやら痛くない特殊な針をお求めいただいているようなのですが、「マイクロ○○」という語感から、細い針だな、とだけ理解しておられることがありますが、ここはには大きな理解の不足があります。実は大事なのは○○にあたる「カニュレ」のほうです。マイクロは（微細な）、カニュレは（鈍針）と訳されます。つまり「細い鈍針」なのですが、重要なのは細いことではなく、「先が鈍」のほうです。次の写真を見てください。

　この写真の上の大きいほうが　「カニュレ」、つまり通常脂肪吸引などで用いるものになります。下の小さいものがヒアルロン酸注入の際などに使用する「マイクロカニュレ」です。もう解説は不要ですね。
　マイクロカニュレには用途や治療部位によって使い分けるために様々なサイズのものが用意されています。下の写真にいくつかを示します。

　写真の物は上から順に２５Ｇ、２７Ｇ、３０Ｇという太さです。一般の鋭針（シャープニードル）に比べて、特に細いわけではなく、むしろ少し太い感触です。

マイクロカニュレは皮下に広く注入するときに活躍します

　鈍針には先端に刃物のようなエッジがないので、注入時に注入部位の皮下でごそごそと動かしても傷つけて出血することがほとんどありませんし、そもそも刺す回数が減らせますので、内出血のリスクや刺入の痛みがかなり軽減されます。

マイクロカニュレを使うことによる様々なメリット

　マイクロカニュレを適切に使うことで得られるメリットのうち代表的なものは、

1. 毛細血管を傷つけないため、出血しにくい
2. 神経を傷つけないため、痛みを伴いにくい
3. 皮下組織の同一の深さに先端を滑らせることで、均一な深さに注入が可能
4. 線状、面状の注入をするときにも余計な心配なく針先を動かせるのでデザインの制限が少ない
5. 適切に広げて注入すると、注入後しこりのようになりにくい

などたくさんあります。

マイクロカニュレを使わないほうがいいケースもある

　ただし、注入のデザイン次第ではマイクロカニュレの使用を勧めないケースもあります。皮下組織の厚い筋膜組織を超えて深く、骨膜上に注入する際や、皮下組織と真皮の境界あたりの注入などには、マイクロカニュレで注入ポイントに到達することがうまくいきにくい場合がありますので、あえてマイクロカニュレを使うことをお勧めはしません。このような使い分けは、施術をお受けになるかたが個人的に判断することは難しいと思われますから、まず任せていただいて大丈夫ですので、ご安心ください。