患者A
先生、本日は、よろしくお願いいたします。ワタクシ、こういうところで相談させていただくのが初めてでして、何からお聞きしたらいいか。。。
医師
そうですか!初めてご利用いただくのに当院を選んでいただいてありがとうございます。初めてでも何も難しいことはありませんから、リラックスしてくださいね。
患者A
娘が糸リフトというのを勧めてくれて、少し調べたくらいですがなんとなく抵抗がありまして、怖いものではないと娘は言うのですが。それを受けたほうがいいのか、それとも機械で引き締めたりする治療などのほうがいいのか、そういうことをお聞きしたかったんです。
医師
わかりました。ではたるみ治療を今ご検討中ということで、ご相談お伺いいたします。たるみ治療はご存じのようにたくさん種類があって、それぞれ効果が違うため目的によって使い分けが必要です。値段が高いものがいいもの、というような単純な優劣があるわけではないのが難しいところです。ではまず、最初にお聞きしたいのは、今後じっくり美容に取り組むおつもりなのか、それとも単回の治療である程度結果を出したいのか、という点ですね。今の時点のお気持ちで結構ですので、なんとなくイメージしていることを教えて下さい。
患者A
実はこんど、その娘の結婚式がありまして、そのために少し良く見えるというか、そういう風に考えていまして、娘からも「こういう機会だし、ちょっときれいにしてもらうといいよ」みたいに言われまして。その、どこがどうこうなりたいとかもあまりはっきりしていないのですが、だったらやっぱり機械などですこしちゃちゃっとやるくらいのほうがいいのかしらと思ったりもしていまして。
患者A
式は3月なので、それまで5か月ありますね。
医師
なるほど、それでしたらあまりスケジュールに縛られずに治療を計画できそうです。 例えば、ミニマムなプランですと式の2週間前くらいに直前のコンディショニングとして水光注射がおすすめです。肌つやや化粧ののりがよくなります。状態によっては小じわが改善したりもします。1,2日程度針跡が赤く見えたり、わずかな内出血がぽつぽつ見られたりしますが、その程度ですので気軽に受けていただくことができます。 その次に、効果と手軽さの総合評価で一番おすすめなのが、やはりヒアルロン酸の注入です。ボリュームが不足してたるみになっているところは、逆三角形のバランスを意識して適切に補うだけでリフトアップも見込めますし、注入部に健康的な張り感が出ます。笑顔が若々しい印象になりますね。入れすぎはよくないですが、ほうれい線の写真写りが目立ったりしないようにすることもできます。こちらもダウンタイムはほとんどないですが、効果もそれなりに長いので、今から式の1か月くらい前までを意識して少しずつ調整するのもいいと思います。
患者A
ヒアルロン酸の注入はあまり考えていなかったですが、それが一番おすすめという感じですか。
医師
そうですね。今から残りのいくつかの選択肢についても触れていきますが、もしそれらを選択した場合にでも、このふたつを式のスケジュールに合わせて行う価値は高いです。
患者A
なるほど、そこまでおっしゃっていただくなら、また少し調べてみてご相談したいと思います。機械の治療はどうでしょうか。
医師
機械の治療は、熱で組織を変性して引き締めていくのですが、1回の治療の結果として見える変化はそれほど大きくはありません。使い方としては、若い方が普段から継続して丁寧に引き締めておくことで余分な注入などを極力しないですませるためにとか、インフルエンサーたちがわずかな映えの差を得るために撮影前の総仕上げで行ったりするようなイメージです。5か月後の式の時の印象に違いを出すという目的なら圧倒的にヒアルロン酸注入が適していると言えます。
患者A
そうなんですね。そうだ、忘れてました。肝心の糸リフトはいかがでしょうか。娘に勧められたのはそれなんですが。
医師
糸リフトはいい選択肢だと思います。ただそれでも、今回のケースでは時間的に糸リフトは1回しかできませんので、結婚式のときによい状態に持っていくにはヒアルロン酸の注入を組み合わせるほうがベターです。糸リフトの効果についてはこちら(
【糸リフトFAQ】Vol.1 糸リフトでこんな感じになりますか?)をお読みいただくとよくわかりますが、一言でまとめてしまうと、糸リフトの効果は「仰向けの時のお顔の状態を段階的に固定していくこと」というものになります。決して「一時的に引っ張り上げるもの」というものをイメージなさらないでいただきたいと思います。だとすると、現在は比較的たるみがある状態なので、1回の糸リフトの効果ではやはり物足りなく感じてしまうと思いますので、結果的にはヒアルロン酸注入を併用するほうが効果的です。
患者A
その場合は、いっしょにやったほうがいいんでしょうか。順番とかありますでしょうか。
医師
現実的にはどちらでも大丈夫です。心配しなくてすむように詳しく言いますと、多くの方は通常、普段は機械でタイトニングしたり少量のヒアルロン酸の注入をしたりしていて、たるみが気になりだしたら糸リフトをするという感じです。ですが一度に両方を治療に組み込む場合は糸リフトをやった結果に従って注入をデザインするほうが、より的確で無駄のない注入ができます。結果的に注入量を減らすことにもつながりますし、1セットの治療としてまとまりがよい治療になります。ただし、もし長い目で美容を続けることを考えた場合、その順番の違いによる差はそれほど大きくはないので無視していい程度の違いです。しかも今回は「なにもかもが初めて」でいらっしゃるので、イメージしやすいどちらかを先に受けていただいて、その結果を確認して次のステップを改めて考えるというプランのほうがいいかもしれません。幸いまだスケジュールには余裕がありますから、ゆっくり考える時間もあります。
患者A
では娘の結婚式のことを考えなければもっといいプランがありますか?
医師
基本の考え方には変わりありませんが、さらに長期にわたってよい状態を保つにはコツがあります。ヒアルロン酸の注入量が過剰にならないように気を配ることです。ヒアルロン酸の注入が一番おすすめだと言いながら逆のことを言うように聞こえるので混乱させてしまうかもしれませんが、大事なことなのできちんと説明しますね。ヒアルロン酸の注入は非常に手軽で効果的ですが、過剰になると不自然にみえるため、使いすぎないように意識することは大事です。機械の引き締め治療や糸リフトを定期的に導入したり、必要があれば顔全体への脂肪注入を行い、ヒアルロン酸の注入が過剰に「欲しく」ならないようにある程度バランスよくケアしていくことは大事です。また、どうしてもまぶたのたるみは年ともに目立ってきてしまうので、眉下切開でまぶたのリフトアップもおすすめです。ただ今回は主役が娘さんなので、そこまでするのは心配になる方もいらっしゃると思いますし、逆によくない気がしますね。
患者A
ええ、切開するとかまだそこまでは想像できないので、ゆっくり始めたいと思います。でもたしかにやせ感があってハリがないのもわかりますし、おすすめに従って少量のヒアルロン酸の注入から試してみたいと思います。もし糸リフトをするなら、結婚式のどれくらい前までにするべきですか?
医師
糸リフトのダウンタイムはそんなに長くないですが、念には念を入れて1か月前までに行うのがいいと思います。
患者A
わかりました。今回お話聞くまで長期的な視点はなかったのですが、少し興味が出てきました。またその都度ご相談のっていただけますか?
医師
もちろんです。丁寧に進めていきますので、よろしくお願いします。
糸リフトは名脇役
糸リフトって、皆さんの中では「主役」って思ってる人も多いと思います。いろんなこざかしいプチ整形をこちょこちょやっててもラチがあかないと感じているときに、さっと登場してすべての悩みを解決してくれる、みたいな。いろいろなクリニックの宣伝を見ていると、そういうイメージお持ちでいらっしゃったとしても、仕方がないとは思います。
私の考えは全く違います。糸リフトは名脇役でしょう。スポーツでいうと、試合を決める決定的な仕事をするエースではなくて、みんなをまとめ上げるキャプテンのようなイメージかなと思います。じゃあエースは何かというと、やっぱりヒアルロン酸の注入です。ヒアルロン酸の注入は、その場その瞬間の悩みに対して、決定的な変化で満足させてくれるような存在です。チームの絶対的エースには、試合がどんな状況でもひっくり返す力がありますが、そういうイメージです。ただ、その絶対的エースがワンマンになるとチームワークが機能しなくなるのと同様に、ヒアルロン酸の注入もそれだけに頼った治療方針を続けていくと効果的な治療ができなかったり、顔のバランスが崩れて不自然になります。そういう存在であるところもまさに「絶対エース」と呼ぶにふさわしい存在です。
一方で糸リフトは、たるみ治療のバランサーです。名ドラマに名脇役あり、常勝チームには大黒柱になるキャプテンがいるものです。同様にたるみ治療には、糸リフトがあるという感じです。どういうことかというと、糸リフトは今までいくつかのコラムでも書いてきたように、たるんだ肌を自在に引き上げるというものではなく、自身の仰向けの状態に向けて段階的に固定していくものです。それによって本質的にたるみの改善が得られると、ヒアルロン酸注入の量や回数を減らす結果につながります。まさに安定したキャプテンシーによって、チームとしての土台がしっかりしている場合にエースの無理な負担を減らすことになる、という感じです。
たるみ治療の「いちばん」の決め方
今回冒頭の会話で想定した方は50台の美容未経験者で、たるみの少し強くなった方を想定しています。娘の結婚式で少し見栄えよくしていたい、そういう方にとってどういう治療が最適なのか、それを考えることは同時に長期的視点への理解にもつながります。
会話内でお伝えした通りですが、期限を決めてその日にピークを作りたいのか、それとも長期的な視点で計画的に美容を行うのか、そういったことはまさに、スポーツで例えると、地区大会の優勝を目標にエースを連投させるのか、全国大会の優勝を目標にチームの土台を作っていくのか、というイメージです。目の前に迫ったスケジュールに対してベストの結果を求めるなら、エースに少し無理をさせるという選択は必要かもしれません。ですのでそういう場合にはヒアルロン酸の注入を軸にプランを立てますし、より長期のプランを立てるなら、糸リフトと機械の引き締め治療を中心に、ヒアルロン酸の注入をなるべく控えめにしてプランを立てます。
たるみ治療の本質を伝えるために
本当に初めて美容クリニックを訪れるという方の相談、意外とたくさんあります。その多くは知人や家族のご紹介なのですが、なかにはどうやってこの小さなクリニックを見つけていただいたのか、という方もいらっしゃいます。そういう方々の期待に応えるために、カウンセリングでは、時間の制限が全くないわけではないのですが、カウンセラーなどを置かずに医師がなるべく正確に美容の治療の説明をさせていただいています。興味がでたよ、という方はぜひ高澤のカウンセリングにお越しください。